商品説明
<新刊書>ウィリアム・グラスリー著/小坂恵理・訳/築地書館/238頁/2022年7月初版。
地球が誕生してから、未だに人間の踏み入れていない場所がある。
その場所に降り立ったとき、どんな景色が見えて、人は何を思うのだろう。
地質学において、現在のような地上の状態を形成する過程を研究するにあたり、
グリーンランドは重要な位置を占めている様子。
何でも、何億年と地球の内部に埋まっていた地層が地表に露出しているらしいのだ。
地質のはなしは、何億年、何十億年の単位で語られるので、かなり意識が飛ばされるが、興味のある人なら、楽しいお話と思う。
科学的な話もそうだが、現地調査での体験、そのときの感情や想い、自然と人間とのつながりをどう捉えるかなど、著者の感覚が、物語のように伝わってくる。
大陸プレートがどのように形成され、どう動いてきたのか、これからどのように動いてゆくのか。地球の内部のことは、まだ分からないことがたくさんある。
ただ、極限の大地は、刻々と姿を変えながら動いている、私たちの足元も動いているということは事実。地球は生きている。
現代を生きる人間にとって、人のいない世界で動いている真の地球に触れることは難しい事だが、それこそが今の私たちに必要な事のようにも思える。
そんな体験を味わえる、ありがたい作品。
図版が少ないので、世界地図を見ながら読むのがおすすめ。