商品説明
<新刊書>大滝ジュンコ・著/山と渓谷社/四六判/255頁
2024年3月初版1刷。
タイトルがおかしく、人を惹き付ける。
現代アートをしている人が全てマタギの嫁になるわけではないであろうから、
著者にとって、マタギの里に嫁いだということは、運命の場所、人、求めていたところに出会ってしまったということなのだと思う。
マタギ村・山熊田の暮らしぶりが中心となるが、その生活は楽しくも厳しい。
全編を通じて感じたことは、著者の元々持っているものなのか、アートをしているせいなのか分からないが、美しい物を「美しい!」、すごいことを「スゴイ!」と感じる力「感動力」の強さと、理不尽で非合理的な習わしやいいつたえ等を「おもしろい!」と面白がる事ができるおもしろがり能力に非常に長けているのではないかということだった。
文面で書くと簡単そうだが、これがなかなかそう易くはなく、誰にでもできる事ではないはずだ。
伝統的な風習のある土地で暮らすには、こういった能力があることがとても大切なのかもしれない。
マタギの里にも人口減少と後継者難という問題が同じようにある。
「羽越しな布」という伝統工芸品の復活と継承に奔走する著者の行動力に敬服するが、1000年もの間続いてきたという古来の生活の中にこそ、現代社会の問題を解決する糸口があるように思えて、ちょっと希望の光が見えたような爽やかな読後感。
現代社会、未来の社会を考えるためにも、読んでおきたい作品。ぜひ。