商品説明
<新刊書>ウィリアム・プルーイット・著/岩本正恵・訳/ヤマケイ文庫。
原著は1960年発行「Animals of the North」
2002年に新潮社より「極北の動物誌」として発刊。絶版となっていましたが、山と渓谷社から文庫版として復刊されました。
文章がすばらしいです。生き物を深く観察し、生態系の細かな部分まで考察し、極北の地を愛する科学者の視点でしか書けない文章だと思います。読者は、森林のトウヒとなって旅をして、ハタネズミとなってその生活を体感し、オオカミになって狩りをして、カリブーやムースーになってその生涯と役割を識ることとなります。また、原住民の暮らしや悠久の時を経た知恵を授かり、極北の奇跡的なバランスの上に生態系の循環が成り立っていることを理解することができます。そこには、文明という名のもとに生きる人間の入る位置は無いことに気が付くと思います。
この本の凄さは、動物誌というだけではなく、なぜ今、環境破壊が進み、気候変動が起きて、温暖化や多くの種類の生き物が絶滅してゆくのか、その一つの重要な課題と問題の答えを明確に伝えていることです。
ぜひ、エピローグを含め、あとがきの最後の一行までお読みいただければと思います。