商品説明
<新刊書>福島健児・著/岩波書店。岩波科学ライブラリー310。B6版。164頁。カバー、イラスト・安斉 俊。
「謎が多いほど魅力的」という言葉がありますが、食虫植物もそんな謎の多い植物。未だ、解明されていないことも多いと言います。
本書では、先人たちの推理と検証、分子・遺伝子レベルなど最新の研究成果をもとに、食虫植物がなぜそのような生態や形態をとるようになったのか、進化の真実に迫っています。
そには、食虫性と光合成のバランスや捕虫と生殖のための形態のバランスなど、独特のジレンマがあったにもかかわらず、あれっなんか出来ちゃったみたいな部分もあり、植物の推理小説を読んでいるみたいな感覚になります。
人との関わりについても記述があり、「ウツボカズラ飯」など食用の部分だけでなく、その形態や消化酵素などが、今後私たちの生活に役立つ場面が出てくるかもしれないと思うと、なんだか嬉しくなります。
全てが解明されたわけではありませんが、かなり研究がすすんで、謎に肉薄していることが感じられる作品。食虫植物が一層愛おしくなり、植物の力に元気をもらえると思いますので、ぜひ読んでみてください。
謎を解き明かそうとする科学者の熱意と情熱に、敬意を表したくなる一冊。