商品説明
<新刊>志村真幸・著/慶應義塾大学出版会。2020年10月30日初版2刷。
熊楠研究において、内面からのアプローチは盛んにされてきましたが、本書は、当時の「ネイチャー」「ノーツ・アンド・クエリーズ」「フラヘン」誌に寄稿した、英文論文を精査することで、外側から熊楠像に迫っています。
大量の論文投稿に、何か目的はあったのか。イギリスを中心とした西欧諸国は、東洋人である熊楠に何を期待し、どう評価していたのか。
とかく誇張気味に語られる熊楠ですが、かなり実像に近い部分に迫っているように感じます。
天衣無縫のイメージとは裏腹に、かなり緻密で綿密な戦略と戦術をもって事に当たっていた様子がうかがえます。
科学界が何を欲していて、自分が何を求められるか、時代の風を読む嗅覚の鋭さがあったのでしょう。
英文論文をかなり詳しく分析していて、相当大変な作業だったと思われますが、熊楠研究が一段上がったのではないでしょうか。
熊楠好きな方も、好きでない方も一度読んでみてください。少し見方が変わるかもしれません。