商品説明
<古書>ローワン・ジェイコブセン・著/中里京子・訳/文藝春秋。
2009年1月1刷。カバー、スレ、キズ、縁少ヨレj。天地小口、少ヤケ。本文、薄くヤケありますがおおむねきれいです。帯あり。解説、福岡伸一。
序盤は、蜜蜂の知性、奇跡ともいえる集合知の素晴らしさを、蜜蜂目線で鮮やかに描き出してくれています。ひとつひとつの蜜蜂が自身の役割を感じ、受け止め、行動していく。それがすべてコロニーの存続のために機能するという、悠久の時の中で得た叡智ともいえる生態は感動的です。
「蜂群崩壊症候群」(CCD)をご存知でしょうか。西暦2000年前後から、北米・ヨーロッパを中心に大量の蜜蜂が失踪し、巣が崩壊してしまう現象が続いています。
本書では、その原因とみられるいくつかの要因から、何がそうさせているのかに迫っていきます。犯人を追い詰める、サスペンスの様相ですが、専門知識なくともどんどん読み進められます。
8割に及ぶ農産物の生産は蜜蜂の受粉作業に依存しています。
アメリカでは、養蜂家は巣箱をトラックに積み込み、季節労働者さながら、北へ南へと蜜蜂たちを移動させて、農産物の受粉作業を兼ねた花蜜集めをさせています。
農園主との契約で巣箱の数によって報酬を得て生計を立てている実情があります。
世界の蜜蜂は、蜂蜜を作り出すためだけではなく、産業化された農業のシステムの一部に組み込まれて疲弊しているようです。
これは、蜜蜂だけではなく、他の生物(家畜、野生生物)や人間自身にも同じ事が言えると思いますので、ぜひ生き物全般の事象と考えて読んでいただけると良いと感じます。
蜜蜂の体内を調べると、驚くほどの数のウィルス、真菌、寄生虫に浸食されているといいます。
農産物に散布される農薬。
蜜蜂に寄生するダニのための殺虫剤。
ウイルス、菌に対抗するための抗生物質。
栄養を補助するサプリメント。
これらは、人間が蜜蜂の作業を維持するために科学的にねじ伏せようとして行ってきた手段です。結果はどうでしょうか。
人間自身も、自身に対して同じような手法をとってきました。
蜜蜂の将来の姿は、人間自身の姿であるかもしれません。
では、どうすれば良いのか?
ひとつの道筋を示してくれてもいます。
ぜひ最後まで、読んでみてください。